腕の痺れと聞くと、医療系の番組を見ている人なら「脳梗塞かな?」とか「心臓に何か問題が…」「ヘルニア?」等のように色々と想像されるかもしれません。
ただ、これらに関心の少ない方や、私には関係ないと思われている方も多いと思います。
しかし、痺れというのは、意外と身近なものであり、一般の方でも痺れに対しての知識と理解を少しでも持ってもらう事はとても大切だと思っています。
今回は、腕の痺れに対する原因や考えられる疾患について記載していきます。
「痺れ・しびれ」と聞くと…
正座し過ぎると足がしびれてくる
静電気などビリっとする”しびれ”などが身近にイメージできるでしょうか。
このように痺れているという感覚を伝えているのは「神経」になります。
人間の体には全身に神経のネットワークが張られています。
その神経の大元となるのが脳と脊髄であり、「中枢神経」と呼ばれます。
そして脳や脊髄などから伸びて全身に広がっている神経を「末梢神経」と呼んでいます。
末梢神経には、「熱い」「冷たい」「触られている」「痛い」などの感覚を脳や脊髄に伝えたり、逆に中枢からの情報を伝え、身体を動かすなどの役割をしています。
また、よく耳にする「自律神経」もこの末梢神経の一つで、内臓や血管などをコントロールする働きを持っています。
私たちが感じるしびれとは、これら神経に何か異常が起きた時に「痺れ」として信号を伝えています。
つまり、痺れは病気の大事なサインの1つと考えられています。
ただ、痺れが具体的にどんな感覚なのか患者さんでも分かっていない方が多いです。
なので、左右で違いがあったり、違和感を感じているようであれば、何らかの異常が考えられるので放置は禁物です。
腕の痺れには様々な疾患があります。
<脳・血管系の問題>
☑脳梗塞
☑脳出血
☑脳腫瘍
☑多発性硬化症
など
<脊髄、脊椎系の問題>
☑頚椎症
☑脊椎椎間板ヘルニア
☑脊柱管狭窄症
☑後縦靭帯骨化症
☑脊髄梗塞
☑脊髄動静脈奇形
☑脊髄動静脈瘻
☑多発性硬化症
☑脊髄炎
☑亜急性連合性脊髄変性症
☑HTLV-1関連脊髄症
など
<末梢神経系の問題>
☑胸郭出口症候群
☑手根管症候群
☑肘部管症候群
☑撓骨神経麻痺
など
他にも、糖尿病やビタミン欠乏、ギラン・バレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、感染症 (AIDSなど)etc…
正直、しびれという症状に対してこれ以上の疾患が可能性としてはあるのです。
ただ、患者様の中には「そういえば昔よくシビレを感じていたな」とか「よくある現象だから気にしていなかった」など、あたかも「私の体質です」ぐらいの感覚の方は意外と多いです。
ただ、シビレとは前述しましたが、「何かしらのサイン」と考えて下さい。
これは間違いなく「医療機関への受診」です。
具体的には
■ 整形外科
■ 脳神経外科
■ 神経内科
などが一般的でしょうか。
ここで大事なのが『緊急性があるかないか』
これを医学的に診断できるのは、医師のみです。
医師の診断により緊急性が見つかれば、すぐに病院への搬送、緊急入院となります。
そうでなければ、保存療法や経過観察という流れになるでしょう。
では、私達のような鍼灸師が力になれる場面は?
というと『整形外科・神経内科的要因による”しびれ”に対する保存療法』が必要となった時です。
具体的には
・頚椎症性神経根症に対する疼痛・痺れへの鍼灸治療
・胸郭出口症候群に対する疼痛・痺れへの鍼灸治療
・頚椎ヘルニアに対する疼痛・痺れへの鍼灸治療
・三叉神経痛に対する疼痛・痺れへの鍼灸治療
・手根管症候群に対する疼痛・痺れへの鍼灸治療
・肘部管症候群に対する疼痛・痺れへの鍼灸治療
・円回内筋症候群に対する疼痛・痺れへの鍼灸治療
などが挙げられます。
これらに対しては、整形外科等での通院に合わせて、鍼灸治療を組み合わせるのが一番、無難な治療方針といえます。
なぜなら、現代医学の鍼灸の立ち位置は、西洋医学に対しての補完・代替医療として注目されているからです。
さらに、薬頼みになる投薬治療を続けて行くことは、必ずしも良いとは言えないことがある事も知ってほしいからです。
今回は腕の痺れに対して記載しましたが、どの疾患に対してもこの流れは第一選択にしてほしいと思っています。
そして、西洋医学に対しての補完・代替医療の代表格として漢方薬がります。
また『鍼灸師』、『あん摩指圧マッサージ師』『柔道整復師』など国家資格を所有する施術者による施術も補完・代替医療の代表格です。
もし、保存療法でクリニック・病院以外での施術を希望するのであれば、これらのキーワードを元に一番、通いやすいところを探してみてはいかがでしょうか。
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